冬場の血管からの病気予防のために重要なのは就寝前の飲水ではなく・・。
「血液サラサラにするために、寝る前と夜間トイレに起きたときに毎回水分を飲んでいます」
——そんな声を患者さんから聞くことがあります。
たしかに水分補給は大切ですが、就寝前に水分摂取をしても、血液がサラサラになり、心筋梗塞などが予防できるということは医学的にはありません。
研究報告でも、1日2L以上の飲水を1週間続けても、早朝の血液の粘り(粘稠度)には変化がなかったというものがあります(Sugaya らInt J Urol 2007)。
夏場は近年かなり湿度が高くなることも近年あるため、環境によっては仕方ないかもしれませんが、少なくとも冬場は控えた方が、夜間のトイレの回数が減り楽になります。
むしろ、心筋梗塞など血管の病気のために、冬の夜に一番気をつけていただきたいのは、“ヒートショック”です。ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧や脈拍が大きく変動し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす危険な現象です。
特に多いのは、温かいお風呂から寒い脱衣所・廊下へ移動したとき。身体が冷えることで血管が一気に収縮し、血圧が急上昇します。
冬場に浴室やトイレで倒れる高齢者が急増するのもそのためです。
東京都健康長寿医療センター研究所によると、ヒートショック関連の事故は年間1万件以上。冬場の突然死の多くが、実はこのヒートショックに起因しているともいわれています。就寝前の水分摂取が突然死を予防するというデータがない一方で、ヒートショックは目に見えて毎年大きな影響を与えています。ですから、ヒートショック予防の方が遥かに
重要になります。
対策として、まずできることはお風呂場にタオルを持参してそこで体を拭いてから、
脱衣所に移ることです。水滴が蒸発することで体温を奪い、冷えるため、これだけでも、かなり有効ですが、患者さんにお聞きすると実践している方は多くありません。
浴室・脱衣所を事前に暖房で温めておくことも最近よく言われていますが、有効です。
冬は「冷え」による体調変化が起こりやすい季節です。暖かい日も多くなってきていますが、急な冷え込みもまだまだあります。
病気の予防として行う際は、効果がありそうものではなく、簡単にできて効果があるものを取り入れておくことがまず必要です。ただ、このご時世どの情報が正確か判断することは大変難しいと思いますので、定期的に専門的な情報をわかりやすくお伝えして参ります。
