夜間頻尿と夜尿症、ちょっと似てるけどちがう話
「夜、トイレに起きる回数が増えてきて……」夜間に何度もトイレに行く「夜間頻尿」。これは、最近の調査でも男女とも最も困っている症状としてあげられている症状です。高齢になるほどかなりの方が夜間頻尿になってきます。一方で「夜中におねしょしてしまう」というのは、子どもに多い「夜尿症」です。この2つ、似ているようで違う症状なのです。
夜間頻尿の原因は、大きく分けて3つあります。ひとつは「畜尿障害」といって、膀胱に尿をうまくためておけない状態。俗に言う膀胱が硬くなるようなイメージです。ふたつ目は「夜間多尿」、つまり夜間に尿がたくさん作られてしまうこと。これも多くは加齢とそれに関わる様々な原因で夜間に尿が多く作られるようになります。そして三つ目が「睡眠障害」、眠りが浅くて、尿意で目が覚めやすくなるタイプです。膀胱という入れ物が小さくなっているのに、入ってくる水の量(尿量)が多くなり、更にトイレの刺激で起きやすくなる→夜間頻尿という結果になるわけです。
一方、夜尿症はどうでしょう。こちらも「畜尿障害」が原因のひとつです。これは子供はまだ尿をためる機能が十分に発達していないことによります。では、夜間頻尿との大きな違いは何かというと“眠りの深さ”にあります。子どもは眠りが深く、多少膀胱がいっぱいになっても目が覚めません。結果として、朝起きたらパジャマと布団が濡れてしまう……ということになるのです。
つまり、子どもは眠りが深過ぎるのでおねしょになる。大人はというと、眠りが浅くなって目が覚め、トイレに行く。この「目が覚めるかどうか」の違いが、夜尿症と夜間頻尿を分ける大きな別れ道になります。
「年をとって、夜間頻尿が増えた」という方は、実は眠りの質の低下が関係していることも多く、睡眠改善のアプローチが効果的なこともあります。また、「夜間多尿」が原因の場合には、塩分の摂りすぎや心不全、糖尿病などの病気が隠れていることもあるため、注意が必要なこともあります。
似ているようで、まったく違う。夜間頻尿と夜尿症。どちらも「膀胱」と「睡眠」という身体の2つの働きが深く関係しています。夜間頻尿は原因が多岐にわたるため、お一人お一人に合わせた治療が必要になります。夜のトイレ問題、ちょっと恥ずかしいからといって我慢せず、ぜひ一度ご相談ください。