暑くなると増える尿路結石 ― 暑さと水分不足にご注意を
2025.06.09
泌尿器科の病気を中心に、健康に関するお役立ち情報をお伝えしていきます。
今回は「尿路結石」についてのお話です。
静岡県も梅雨入りし、ジトッとするような蒸し暑い日も多くなってきました。暑くなると多くなる病気があり、そのひとつが尿路結石です。近年、いくつかの研究で「尿路結石は夏に多くなる」との報告がされています。例えば台湾の大規模な研究では、尿路結石で救急搬送される患者が7~9月にピークを迎え、冬季からの減少後、夏場に明確な上昇が確認されています(1)。イタリアの調査でも夏場に尿路結石の発作が多くなったというものがあります(2)。
その理由の一つは、「脱水」です。暑い日には汗をかきやすく、体内の水分が不足しやすくなります。尿の量が減ると、体内で作られるカルシウムやシュウ酸などの成分が尿に濃縮され、結石が形成されやすくなるのです。
また、夏はビールなどアルコールを飲む機会も増えますが、アルコールは利尿作用が強いため、水分補給を十分に行わないとさらに脱水状態を招きます。
尿路結石は突然の激しい背中やわき腹の痛み、血尿、吐き気などを引き起こすことがあります。再発しやすい病気でもあり、初発の方だけでなく、過去に経験のある方も夏場は特に注意が必要です。
予防のために大切なのは「こまめな水分補給」です。1日に2リットル以上の水を目安に摂取しましょう(心臓や腎臓に重い持病のある方や高齢の方以外)。ビールの美味しい季節ですが、麦茶や冷水など水分補給も一緒に行いましょう。
尿路結石歴のある方が、夏場にお腹や背中の痛みを感じたら、当院でしっかりと診察いたしますが、発作を起こさないことが最良なため、是非予防も行ってください!
- (1) Chen et , J Urol. 2008;179(2):564-569,
- (2) Cervellin et , Intern Emerg Med. 2011;6:141–147