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結石ベルトってなに?アメリカの暑い州と尿路結石の意外な関係

コラム

梅雨入りしたにもかかわらず、既に猛暑日が続いています。前回は「夏に多くなる尿路結石」についてお話しましたが、少し別な視点からこのテーマをお話しします。

まずは「ラストベルト(Rust Belt)」という言葉をご存知でしょうか?これはアメリカの中西部から北東部にかけて広がる工業地帯で、かつて製造業が盛んだったものの、現在は衰退し“さびついた地域(Rust=さび)”としてやや不名誉な名で呼ばれています。トランプ前大統領が選挙戦でこの地域の再生を訴え、政治的にも象徴的な存在となったのは記憶に新しいところです。

 

一方、アメリカにはもう一つの“ベルト”があります。それが「結石ベルト(Kidney Stone Belt)」です。こちらはアメリカ南部、特にテキサス、アラバマ、ジョージア、フロリダなどの高温多湿な地域で、尿路結石の発症率が極めて高いことから名付けられた地帯です。たとえば、アラバマは『フォレスト・ガンプ』の舞台として緑豊かで湿度の高い地域です。テキサスは、映画『ダラスの暑い日』という作品があるほど(ただ単に暑いのではなくアメリカの歴史的な事件とかけていますが)、テキサスの“灼熱”はアメリカでも有名で、広大な平野に照りつける強い日差しが特徴と言われています。これらの地域では、高温多湿な気候によって大量の汗をかき、尿が濃縮されることなどいくつかの要因で(食生活や水の性状など)、尿路結石ができやすくなるのです。

最近の研究では、地球温暖化により、この「結石ベルト」が徐々に北上し、アメリカでは尿路結石リスクの高い地域が増加することが指摘されています。

 

日本でも、猛暑日が年々増え、尿路結石リスクの高い時期が長くなってくる可能性があります。

熱中症予防でこまめな水分補給とTVなどで言われ続け、うんざりしてしまうかもしれませんが、尿路結石になったことがある方の、予防の第一歩も、1日1.5〜2リットルの水分摂取です(心臓や腎臓に持病のある方や高齢の方、頻尿の方は医師に摂取量を確認ください)。習慣のない方が、すぐに多く飲水することは難しいので、まずは、朝昼の間に1回多く水分摂取、朝食、昼食の際に、1杯だけ多くのむなど少しずつから始めていきましょう。