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尿結石・腎結石

尿路結石について

尿路結石とは、腎臓から尿道までの尿の通り道に生じる結石のことです。結石ができる場所によって症状は異なります。男性が女性よりもなりやすく、男性では7人に1人が、女性では15人に1人が一生に一度は尿路結石に罹患すると言われています。働き盛りの30~50歳代の羅漢率が高いです。夏場に多くなります。

症状

腎結石

症状が少なく発症を自覚しづらいですが、血尿が起こる場合があります。健診で尿潜血を指摘され、判明することもあります。症状がなくても、腎臓内で大きくなると、腎臓の機能が悪くなったりすることもあります。

尿管結石

尿管結石とは、腎結石が尿管に移ったもののことです。尿管は、蠕動運動によって膀胱に尿を送っています。しかし、尿管から膀胱の間に結石があると尿の流れが停滞し、結石の上側の腎臓内圧が急激に上昇することで、疝痛発作が生じます。発作の痛みは成人男性がうずくまり、しばしば救急車を呼ばないと我慢できないくらい強いです。血尿も出ることが多いです。また、結石が膀胱の近くまで落ちてくると結石によって膀胱が刺激され、膀胱炎と似たような症状や残尿感などの症状が起こります。

膀胱結石

普通は前立腺肥大症など膀胱に尿の停滞を起こす病気があると結石ができ、尿の感染が加わると結石が大きくなります。また、長期の尿道留置カテーテルなど異物に結石ができることもあります。結石が膀胱の粘膜を刺激するため、頻尿、残尿感、血尿などの症状が出ます。他にも、膀胱の出口が結石によって塞がることで、尿閉や排尿障害などの症状も現れます。

尿道結石

尿道は尿路の最終経路です。結石の多くは尿と一緒に問題なく出ていきますが、結石が大きい場合や通り道が狭い場合などに尿道を塞いでしまい突然排尿困難が起こります。

原因

腎臓内で尿中に結石の成分となるカルシウムなどの物質の濃度が増加すると、飽和して結晶ができます。1日尿量が少ないなど結石ができやすい条件が続くと結晶が析出して、結石が出来てきます。遺伝や生活習慣病、高温環境下の職業やストレスなども原因とされていますが、原因をひとつに絞ることは難しいことが多いです。

検査

検尿

血尿が通常認められますが、結石が動いていない場合などはないこともあります。尿の混濁(膿尿)を認めることもあり、必ずしも尿の感染を示すものではありませんが、尿路感染になるころもあるので注意します。

画像診断

腹部レントゲン検査

腹部レントゲン検査尿路結石多くは成分にカルシウムが含まれているため、レントゲン写真に写ります。結石の位置やサイズなどが分かります。尿路結石に似た位置に血管の石灰化があったりすると分かりにくかったり、尿酸結石など、レントゲンに写らないものもあります。

超音波検査

超音波検査身体に負担をかけず、尿路結石の有無や結石による尿の滞留を調べることが可能です。結石によって尿が停滞すると腎臓が腫れるため、尿管結石の診断に役立ちます。また、腎結石の大きさを定期チェックできます。一方、尿管にある小さい結石は分からないことも多いです。

CT検査

レントゲンの被爆はありますが、あらゆる結石が写ります。他の検査で結石がはっきりしない場合や、結石に似た他の病気が疑われる場合に行います。

治療

薬物治療

尿管結石で10mm未満のサイズの場合は、痛みを抑えるお薬や結石を外に出しやすくするお薬を使いながら自然に体外に出ることを待ちます。サイズによって外に出る確率は変わり、5mm未満の尿管結石では、約70%、5-10mmでは約半数が自然に排石します。半数の方は結石が出ても分からないため、可能な方は結石をこすザルをお渡しして確認して頂きます。

積極的治療

サイズが大きく自然に排出されない場合や、1ヶ月以上経過観察しても状態が変わらない場合は以下のような治療を実施します。(病院での治療になります)。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体外で生じた衝撃波を収束させ、結石に当てて破壊します。日帰り、もしくは1泊2日で出来ますが、結石の位置やサイズによって出来るか判断します。

経尿道的尿管砕石術(TUL)

尿道から細い内視鏡を入れて、レーザーなどを用いて結石を破壊します。結石を確実に破壊できる可能性が高い治療ですが、治療にあたって麻酔が必要です。このため、通常3-4日の入院が必要になります。

経皮的腎砕石術(PNL)

背中から腎臓に直接内視鏡を入れて、レーザーなどを用いてESWLで破壊できない結石や巨大な結石を破壊します。2cm以上のかなり大きな結石のみに通常行う治療です。

結石予防・生活指導

尿路結石は他の疾患と比べて再発率が高く、5年間で約半数の確率で再発します。高尿酸結晶や他の生活習慣病と一緒になって結石が出来ることが多いため、生活習慣病があれば治療が必要です。排石した結石をキャッチできれば結石の成分が分かる検査に提出してより結石に応じた詳しい予防が可能です。結石の種類によっては結石ができにくくするお薬を使うことが必要になります。

結石の再発を防ぐためには、十分な水分補給・バランスのよい食事、適度な運動などが必要ですが、特に働き盛りの男性にとってはなかなか取り組みづらい内容と思います。無理のない範囲で長く続けて頂けるように、まず出来ることからひとつ始めていきましょう。

以下に結石再発予防方法をアドバイスさせて頂きます。

  • 食事以外に2Lほどの飲水をする。(高齢の方や持病がある方は医師に確認してください)。
  • 水分としては麦茶やほうじ茶が結石ができにくくおすすめです。
  • 塩分、動物性たんぱく質(肉類)、シュウ酸(ほうれん草、コーヒー、ナッツなど)を取り過ぎない
  • カルシウム(魚、牛乳、チーズ)などは適量取る(摂取量が少ないと尿の中にカルシウムが多く排泄されて結石が出来やすくなります)。
  • 夕食後2-3時間あけてから就寝する(結石は夜に作られやすいです)。
  • 週2-3回はウオーキングなどの運動を20-30分する。

尿路結石の痛みは特徴的なので、経験者はすぐに分かります。近年ではメタボリックシンドロームのひとつと言われております。結石を身体からのアラームサインと考えて生活習慣の改善が出来れば、結果的に健康的な状態を得ることができます。再発しやすいため、泌尿器科で定期的に検査を受けることが必要です。